海外旅行保険では、天候や航空会社の都合による6時間以上のフライトの延期・欠航は、「航空機遅延補償」によりそれを理由にかかった宿泊代や食事代などが、2万円を上限に補償されます。
では、病気や怪我などによる自己都合で、予定していたフライトをキャンセルして取り直した場合、どのようなケースならエアーのキャンセル代や余分にかかった宿泊代などが補償されるのでしょうか?
また、それはどんな特約を付けていれば対象となるのでしょう。
病気やけがなどによるフライトキャンセルなどが、保険適用になる場合とならない場合の完全解説です。
ポイントは、治療行為が物理的にフライトに影響を及ぼすかどうか

フライト直前に起きた体調不良や病気、ケガが、早急に治療行為を必要として、その結果医師の診断でフライトを延期するようにアドバイスがあった場合や、その治療を行ったことで物理的(時間的)にフライトに影響を及ぼした際は、それによってキャンセルや延期したフライト代は保険でカバーが可能です。
ちょっと分かりづらいですね。実例で解説しましょう。
保険対象ケース①:海外滞在中に麻しんにかかり、医師から5日間の外出を控えるように言われたSさん

Sさんはフライト3日前、急な発熱や発疹などで病院へ。
麻しんと診断され、医師からは5日間くらいは外出は避けるようにアドバイスをされました。
これはもちろん、予定していたフライトをキャンセルして予約をし直した費用は対象となりました。
保険対象ケース②:空港へ行く途中、乗っていたタクシーが事故でむち打ちになったAさん

夜8時羽田発シアトル行きのフライトに搭乗するため、自宅からタクシーに乗ったAさん。
その途中で乗っていたタクシーが、別の乗用車と事故を起こしました。
衝撃で首を軽いむち打ちに。
フライトの時間もあり、我慢も出来なくはありませんでしたが、後々のことも考えすぐに病院へ。
このようなケースでフライトをキャンセルして取り直した費用は、治療行為は避けられないとして保険適用となりました。
保険対象外ケース①:フィリピン出張から戻る前日、貧血で倒れたNさん

フィリピンへ2泊3日の出張をしたNさん。
出張2日目に取引先へ訪問する途中で、Nさんは貧血でフラフラになり倒れてしまいました。
そのまま現地のクリニックへ。
点滴を打ってその夜宿泊先のホテルへと戻りました。医師からは、しばらく横になって安静にしていれば大丈夫だろうと。
翌日が日本に戻る日でしたが、上司の判断で大事を取って1日延期することとしました。
このケースでは、保険は適用とはなりませんでした。
上司の判断だからです。
その他、フライトの予定日に風邪が治らず病院へ。予想以上に混んでいたために搭乗予定時刻に間に合わなかったなども、キャンセル費用は保険対象とはなりません。
必ずしも、フライトを変更してまで治療が必要だったとはみなされないからです。
必要な治療行為によって対象となるキャンセル費用は、治療救援者費用特約から

保険会社の規定上では、どのように記載されているのでしょうか。
某保険会社約款より〜治療救援費用担保特約〜
被保険者が、保険期間中に被った傷害、発病した疾病により治療を必要とした場合、その結果当初の旅行行程を離脱した場合において、次に掲げるいずれかの費用のうち被保険者が現実に支出した金額を補償する。但し払い戻しを受けた金額または被保険者が負担することを予定していた金額は費用から控除する。
ア,被保険者が当初の旅行行程に復帰するための交通費および宿泊費
イ,被保険者が直接帰国するための交通費および宿泊費
※日本国外に居住している被保険者が、その居住地の属する国へ直接帰国するための交通費および宿泊費を含みます。
このように、病気やケガなどの自己都合のフライトキャンセルや延期などは、治療救援費用の一貫として必要な場合には保険の対象となるのです。
ですから、航空機遅延と違ってフライトの延期された時間などは全く関係ありません。治療行為が必要であったのかどうか、そしてその治療行為や症状が、物理的にフライトに影響したかどうかで対象となるかどうかが判断される、ということなのです。
フライト中は、気圧の変化や同じ態勢を長時間強いられることなどから、健康な時でも体調の急変には注意が必要です。
少しでも異変を感じたのであれば、まずはサポートデスクや担当者の方に相談をして、無理をしないことも大切ですね。
※参考記事
[blogcard url=”https://www.kaigai-hoken.info/aircraft_delay/” title=”あなたの海外旅行保険にも付いてますよ!航空機の出発が遅れたときの航空機遅延補償。” content=”日本は台風や大雨などが多く、航空機の欠航なども良くあること。そんな時に役立つのが航空機遅延補償です。”]
[blogcard url=”https://www.kaigai-hoken.info/measles/” title=”日本一時帰国中、海外戻る前日にお子様がはしかに感染。海外旅行保険のお役立ち度は?” content=”お子様がフライト前にはしかに。もちろん飛行機には乗れません。そんな時、親の付き添いなどどこまでが保険で対象となるのでしょうか?”]
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
海外でも日本でも安心な、日本の海外旅行保険まとめ
- 病気やケガによって予定していたフライトをキャンセルしたり延期した場合の費用は、その治療の必要性や医師の診断、フライトを延期する物理的な条件で判断されます。
- 事故によるケガや一定の隔離を必要とする病気の場合には、もちろん延期に伴う費用は対象ですが、自己判断による様子見などでは難しいでしょう。
- 保険適用の場合は、治療救援費用からの対象となりますので、航空機遅延補償を付けてないプランでもご利用が可能です。
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