日本では、新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店に対して営業時間短縮等の政府の要請が出される中、自宅で飲酒する機会が増えました。
その結果、外出自粛や在宅勤務などで時間を気にせず飲めるため、ついつい飲酒量が増えた方が大勢居たようです。
総務省統計局が発表した家計調査によると、家庭の酒類の消費は増加しており、特に緊急事態宣言中であった2021年4〜5月は前年比で約25%増となっています。
一方、アメリカで2020年に起きた薬物中毒の急激な増加も、コロナ禍を反映したものです。
都市封鎖措置や景気後退を受けて、多くの労働者が職を失い、救いを求めるかのように薬物の過剰摂取が増えたと考えられます。
勤務先からの条件は、Drug&alcoholによる病気も補償された保険加入
あるお客様より、アメリカの勤務先から「Drug&alcoholによる病気も補償範囲に含まれている保険に加入済みである」という書類を要求されている件について、ご相談いただきました。
その方は日本の海外旅行保険に加入して渡航されていましたが、
その時に加入している保険会社からは、「その内容では書類への署名は絶対に出来ない」、との一点張りだったことから、海外の保険に切り替えていたそうです。
しかしどうしても安心な日本の保険で準備したいと、弊社にご相談をしてくださいました。
最初にこのご相談をいただいた際、私も正直厳しいかもしれない、と思いました。
アルコール中毒や依存症については補償出来ても、薬物中毒では合法か非合法かの判断も含めて難しいのではないかと感じたからです。
それでも、諦めずに保険会社に交渉を行いました。
「保険金をお支払いしない主な場合」で、アルコールや薬物中毒等に影響することは?
「保険金をお支払いしない主な場合」として、アルコールや薬物中毒等が影響しそうな項目は以下のようなものとなります。
- ご契約者、保険の対象となる方の故意または重大な過失
- 無免許・酒気帯び・麻薬等を使用しての運転中に生じた事故によるケガ
- けんかや自殺行為、犯罪行為 etc,.
早速、某・保険会社の「保険金支払い部門」に確認。
回答としては、
一方、薬物中毒については、例えその海外の滞在国では合法でも、日本の法律上違法となるので、保険の対象にはなりません。
というものでした。
予想された通りの答えでした。
とは言え、「酒気帯び・麻薬等を使用しての運転中に生じた事故によるケガ」は補償はしない、とわざわざ記載しているということは、酒気帯び・麻薬等を使用していることだけで、対象にはならないとは言えないはず。
そこで再度保険会社に交渉をしました。
最終判断は保険適用・書面への署名OKに!
弊社では今まで、コロナも補償する旨が記載された書面や、海外現地の特殊事情を記載する書面等、一般の保険会社が発行・署名しない書面についても、お客様のご要望にお応え出来るよう、保険会社に書面の発行を依頼してきました。
今回の件も、交渉の結果最終的には以下のような判断となり、書面に対しての署名が認められたのです。
疾病事故と判断できる状況であった場合、既往症でなく責任期間中に発病しているものであればお支払の対象となり得ますし、急激・偶然・外来性の3要素がそろい傷害事故と判断できる状況にあった場合には、支払いの対象となり得るため、「対象外」とは言い切れないと考えます。
※その他免責事項に該当しないことが前提ですが、アルコール・薬物乱用によるものを免責事項としては規定していない。
少し表現が分かりづらいですが、
「難しい判断ではあるけども、薬物中毒もアルコール中毒同様、保険加入後に発症したら対象となる」
ということなんです。
今回は、弊社がメインで取引している保険会社の担当者に、何度も交渉・確認をして、ようやくこのような結果が得られました。
恐らく、お客様が直接保険会社に依頼をしても、了承はされないと思います。
弊社は海外旅行保険のプロです。どのような件でも、お困りの際は、まずはご相談ください。
このように、コロナ禍はその二次産物として多くのアルコールや薬物中毒者を生み出しました。
これらは確かに深刻な病気ですが、自らがその原因を作ったものでもありますよね。
果たして海外旅行保険ではこれらの治療について保険適用となるでしょうか。
また、海外、特にアメリカの企業では、それらも補償する保険に加入済みという書面に、署名を求められるケースが増えているようです。
これは海外旅行保険で可能か否か、解説します。