オーストラリアで結婚し、既に20年在住のS子さん。
年に2回は一時帰国をして、実家で一人暮らす父を訪ねています。
S子さんは一人っ子。一昨年母親がガンで亡くなり、今一番の心配は日本で一人暮らす父親のことです。
『父はまだ66歳ですが、前回の帰国時には激しい物忘れや、時たま買い物で道に迷うことがあることなどを聞き、認知症の疑いを感じていました。』
見守り用のカメラを設置して、毎日声をかけるようにしましたが、日に日に訳がわからないことを言う回数が増えてきたとのこと….
S子さんは、お父様が重度の認知症にならないうちに、自分が暮らすオーストラリアに呼び寄せることにしました。
日本は全人口における認知症有病率がOECD加盟国で最多

超高齢化社会である日本は、認知症の有病率も先進国でトップ。
OECD平均で1.48%の中、 倍近い2.33%。2位イタリア、3位ドイツと比べても高い数字になっています。
S子さんもずっと心配はしていましたが、お母様が亡くなったことがやはり発症のきっかけとなってしまったのでは無いかと思ったそうです。
今後、誰も見守る人が居ない中での一人暮らしでは、お父様の認知症が進んでも気付かず、周囲に大きなご迷惑をかけてしまうことも想定されます。
S子さんは急遽帰国。お父様の説得をしました。お父様はとても不安そうではありましたが、反面娘さんと暮らせることは嬉しいようで快諾してくれました。
さてこれから急いで準備です。
認知症の海外生活についても、いろいろと調べなければなりません。
認知症の方の海外生活に心配な様々なこと

認知症は例え軽度であっても、環境の変化には大変なストレスを感じます。
まずは飛行機に10時間近くも乗る、という非日常的な状況下でパニックを起こしてしまうケースもあるようです。
もちろん、例えまだ軽度でも一人で乗せることはタブー。
また日本では住み慣れた環境であったからこそある程度判断がついていましたが、海外現地での生活では細心の注意が必要です。
もし道に迷っても、英語が分からないお父様ではどうにも出来ません。
また日本では、認知症の方が踏切に立ち入って列車を止めてしまい、ご家族に大変な賠償請求が行ってしまったケースもあります。慣れない環境では、そのようなリスクも日本に居るとき以上に注意をしなければなりません。
海外旅行保険は認知症の方にも大きな安心

認知症の方でも、高齢の方でも、海外旅行保険にご加入することは可能です。
ご自身の病気やケガに備えることがもちろん大切ですが、海外旅行保険に付帯されている「賠償責任特約」が心強い味方となります。
誤って他人にケガをさせたしまった、損害を与えてしまったという場合に補償してくれる特約です。
もし道に迷ってしまったり、一人で困ったことになったとしても、サポートセンターによる通訳サービスも利用が出来ます。
長期にわたる要介護状態になってしまったケースには、海外旅行保険ではお役に立てません

しかし海外旅行保険の治療費用は、あくまでも病気やケガが対象で、また最長180日間しか利用が出来ません。
要介護状態には、例え寝たきりになっても対象外です。
S子さんもそのことは十分理解していますので、万一そのような状況に進行してしまいそうであれば、日本の介護施設にお願いをすることも検討しています。
日本の介護保険制度は、S子さんのお父様のように海外滞在のために支払いを停止したとしても、帰国後再開すればすぐに介護サービスが利用可能となります。これは、国民健康保険などと同じです。
※参考記事
[blogcard url=”https://www.kaigai-hoken.info/care-of-old-age/” title=”80歳以上の海外旅行保険!年老いた両親を海外に呼び寄せる編” content=”一般に海外旅行保険の加入可能な年齢上限は69歳。でも、例え70歳以上80歳以上でも、ご加入できる保険会社もあります。”]
[blogcard url=”https://www.kaigai-hoken.info/oti-and-cancer/” title=”海外渡航中はガンでも治療費補償、180日ルールのメリット・デメリットとは
” content=”海外旅行保険の治療救援費用は、一つのケガや病気に対して最長で180日間の治療で打ち切りとなります。”]
[blogcard url=”https://www.kaigai-hoken.info/dont_be_too_sure-of_yourself/” title=”油断大敵!海外滞在中の高齢者高額事故・病気事例!備えましょう、わたしからの5カ条。” content=”シニア世代の海外旅行や海外移住が増えていますが、それに伴いシニアの方の高額な支払い例も散見されるように。シニア世代の海外生活に、私からアドバイス5つです。”]
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
海外でも日本でも安心な、日本の海外旅行保険まとめ
- 例え軽度でも認知症の方には、環境の変化が一番のストレス。飛行機での移動や海外生活環境の違いに十分ご注意ください。
- 認知症によって他人に迷惑をかけてしまうリスクも大きいため、海外旅行保険の賠償責任特約がとても安心となります。
- 但し長期にわたる要介護状態には、海外旅行保険の治療費用はお役に立てません。日本の介護保険制度をご検討ください。
[…] […]
[…] […]
[…] […]