台風15号関東直撃。成田空港で保険が使えた人使えなかった人及び「海外→成田便欠航」等での保険金請求について

9月9日に関東地方を直撃した台風15号。5日が経過した現在でも、千葉県を中心になおも19万戸もが停電となっており、未だにその傷跡が残っている状況です。

昨年9月4日は、台風21号の影響により160万戸の停電となり、また関西国際空港では高潮や連絡橋の破損による孤立で、3,000人もの旅行客が取り残される事態となりました。

今回は成田空港で航空機の遅延や欠航、及び空港からの公共機関が断たれたことにより、13,000人もの方が足止めとなってしまいました。

このような事態で、海外旅行保険が使えた人、使えなかった人がいらっしゃいましたが、この差は何なのでしょうか。

プランによる補償の違いや、具体例などをもとに解説します。また、保険金請求時の必要書類などもお伝えします。

災害による空港孤立時の3つのパターン

台風15号で成田空港は大混乱です。

今回の成田空港のような事例では、旅行客が受ける影響は主に3つあります。

1,航空機自体の欠航や遅延による影響
2,海外から空港到着後、空港から先の交通機関による影響
3,海外に出発する時の、空港に行くまでの交通機関による影響

9日成田空港では、1万人以上が空港で夜を明かしたそうですが、今回は特に上記の2,都心部へ向かう交通機関の運休が相次いだことが大きく影響をしました。

このようなケースでは、タクシーもレンタカーも使えず、近くのホテルで宿泊することも難しい状況。レストランは長蛇の列で入れず、コンビニエンスストアの飲食物もすべて売り切れ。空港から配られた水とクラッカーだけで夜を明かした方が大半だったようです。

ある海外からの訪日観光客は、「情報のない不安さ、騒音、硬い床、空腹。気が狂いそうだった」と言っていました。

空港孤立時等に利用できる可能性のある補償

空港で足止めとなった場合に対応できる補償は、航空機遅延か偶然事故対応費用があります。

海外旅行保険には、航空機の遅延・欠航や空港閉鎖時に利用できる可能性のある補償が付帯されています。

1,航空機遅延補償
・出発地から搭乗する予定であった航空機が6時間以上の出発遅延・欠航・運休となった場合、実際に支出した宿泊施設料、食事代、交通費、国際電話料、渡航先での各種サービス取消料などが対象となります。通常2万円程度の補償限度となっています。

2,偶然事故対応費用(旅行事故緊急費用など、保険会社によって名称は異なります)
・海外渡航中の予期せぬ偶然な事故により、下記a〜gの費用負担を余儀なくされた場合、その費用を各限度内において補償してくれます。通常トータルで5万円程度の補償限度となっております。
a,交通費(航空機代含む) b,宿泊代 c,国際電話料 d,渡航手続費 e,渡航先での各種サービス取消料 f,食事代 g,身の回り品購入費

上記の2つの補償は、1,については31日を超えるプランの場合に、2,については31日までのプランに付帯可能となっていますので、期間によって自由に選ぶことは出来ません。

1,も2,も、同じような補償に見えますが、2,については航空機の遅延・欠航だけに限定されていないため、空港までの交通機関による影響でも補償の対象となるケースが発生します。

ここが今回の事例では保険が使えるか使えないかの差となっています。

実際の事例に見る、保険が使えた場合と使えなかった場合

実際の事故例から、保険の適用可否を見てみましょう。

今回の台風15号では、弊社の火災保険のお客様からの事故報告が過去最高の件数で入って来ましたが、海外旅行保険のお客様からもたくさんの報告や相談が入りました。

では実際の事例で、保険適用となった場合とならなかった場合を解説します。

保険対象ケース①一年プランご加入。一時帰国後成田発の便が翌日に欠航となり、宿泊が一泊多くなったケース

航空機の欠航は、保険の対象となります。

このケース、保険期間一年のお客様が日本へ一時帰国。その後また海外に戻る際の便が欠航となってしまったもの。

帰国中はご実家に居ましたが、台風15号を心配して前日は空港近くのホテルに宿泊。その後9日の便が欠航となったため、もう一泊余計に宿泊したという内容です。

前日の宿泊は対象とはなりませんが、欠航により更に一泊した分や、その際にかかった余分な食事代・交通費などは保険の対象です。

保険対象ケース②5日間プランにご加入。ハワイから無事帰国は出来たが、その後成田から自宅に帰ることが出来ずに近くのホテルに宿泊したケース

航空機は定時でも、空港からの交通機関の乱れで保険が使えることもあります。

航空機自体は予定通り到着しましたが、空港から先の交通機関の運休などにより帰宅が出来なかったケースです。

31日までのプランに付帯される「偶然事故対応費用」なら、このようなケースでも保険の対象となります。

これ、意外に知られていないようです。

保険対象ケース③3日間プランでタイより帰国するも、空港から動けず。空港ロビーで一夜を過ごしているうちに、体調不良となって空港の病院で治療を受けたケース

日本に着いて空港で体調不良も、海外旅行保険が使えます。

他の事例とはちょっと違いますが、参考までに掲載しました。海外旅行保険の最終日、日本の空港に着いてから体調不良になったケースです。

1万人以上もの方が空港で一夜を明かしたので、結構大勢このようなケースがあったのでは無いかと想像されます。

今回のような緊急事態の場合、ある程度は空港の病院でも無料でケアをしてくれたのでは無いかと思いますが、海外旅行保険は日本のご自宅に到着するまでが補償の対象となりますので、問題無く治療費が利用可能です。

保険対象ケース①一年プランご加入。一時帰国で予定通り成田空港到着も、成田からご自宅まで交通機関が動かず臨時で宿泊したケース

航空機遅延は、交通機関の遅延だけでは対象にはなりません。

このケースのポイントは、長期契約のお客様飛行機は予定通り到着したが、空港から先の交通機関の影響で余儀なくされた宿泊代や食事代はどうなるか、ということ。

前述した通り、保険期間が31日を超えている場合は、飛行機の6時間以上の遅延や運休が関わらないと対象とはなりません。

よって保険対象ケース②とは違って、残念ながら補償の対象とはなりません

保険対象ケース②7日間プランご加入。ヨーロッパに出発当日成田までの交通機関が「計画運休」で空港へ行けず。飛行機は予定通り出発してしまったケース

計画運休の場合は、その発表の時間などで保険適用が変わります。

最近では、大型の台風などの場合に鉄道などの公共機関が「計画運休」を行うケースが増えてきました。

これは注意が必要です。

今回のケースでは事前に交通機関の計画運休が発表されておりましたが、飛行機の欠航は決定していないのであれば何らかの手段(タクシーの手配等)で空港に行っておく必要がありました。

よってこのお客様は飛行機チケットの取り直しや、現地ホテルのキャンセル料などが発生してしまいましたが、残念ながら保険の対象外となります。

なお、計画運休の事実をその方が知っていたかどうかは関係無く、計画運休が発表されていたかどうか、そしてその時間などで判断となりますので、しっかりと情報収集をしておく必要があります。

一方、今回の鉄道の計画運休は再開見込みについての甘さがあり、運転再開の大きな遅れに振り回された方も多かったと思います。

その他、航空機遅延や偶然事故対応費用などの補償の対象となるような事例であったとしても、空港内にてレストランもコンビニも利用できず、かつホテルにも宿泊できずに空港で夜を明かしたような場合、費用が何も発生していないために保険からは一切補償は出ません。

また、クレジットカード付帯の海外旅行保険には、「航空機遅延」や「偶然事故対応費用」などの補償はありません

今回の台風で海外→成田便欠航や、成田→海外便欠航、6時間以上の遅延、成田到着後の交通機関の運休などにより余分な宿泊代や食事代、交通費などがかかった方は、忘れずに保険金請求を行ってください。航空機の遅延や欠航については、それを証明するもの(遅延証明や表示版の写真、航空会社からの案内メールなど)をご準備ください。交通機関の運休などは、ニュースなどで明らかであれば特に証明は不要です。かかった費用については必ず領収書を残しておいてください。

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海外でも日本でも安心な、日本の海外旅行保険まとめ

  • 台風の影響などで航空機が遅延・欠航したり、空港までの交通機関が運休をして空港で孤立してしまった場合、保険が対象となる可能性のある補償が2つあります。「航空機遅延」と「偶然事故対応費用」(会社によっては旅行事故緊急費用等)です。
  • 「航空機遅延」は31日を超えるプランに付帯可能で、「偶然事故対応費用」は31日までのプランにのみ付帯が出来ます。「偶然事故対応費用」については、航空機の6時間以上の遅延や欠航以外に、その他の偶然事故(交通機関の運休など)でも補償の対象となってきます。
  • このように、保険期間によって選べる補償は決まってしまうため、今回の成田空港のような事例では保険が利用出来た方出来なかった方の差が出ます。但し「計画運休」のような場合には、事前の情報収集をしっかりと行わないと対象外となる事もありますので注意が必要です。
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