11月8日より、海外からの日本入国について一部制限が緩和となりました。概要は、
1,「ワクチン接種証明書保持者に対する入国後の行動制限の見直し」
そしてもう一つが、
2,「外国人の新規入国制限の見直し」
この2点。
私たち海外と日本を行き来する者にとっては、1,「ワクチン接種証明書保持者に対する入国後の行動制限の見直し」がポイントになります。
オミクロン株拡大の影響で、この措置は2021年11月30日より年内一杯停止となっています。
恐らく年明け沈静化して以降再開となると思いますので、その前準備としてご活用ください。
今回の措置の概要(従来の水際対策は続いています)
今回の措置ですが、ニュースだけ見ていると「お、ビジネス目的や日本人なら、帰国後の自主隔離が3日でいいんだ」と安易に受け止めてしまうかもしれませんが、
全く違います。
概要は以下となります。
受入責任者(入国者を雇用する又は入国者を事業・興行のために招へいする企業・団体等をいう。以下同様。)の管理の下で、ワクチン接種証明書保持者に対し、入国後最短で4日目以降の行動制限の見直しを認めることとします。
現在原則として一時停止している外国人の新規入国について、日本国内の受入責任者から業所管省庁へ提出した誓約書及び活動計画書を含む申請書式が事前に業所管省庁の審査を受けたことを条件に、商用・就労目的の短期間(3月下)の滞在者及び長期の滞在者の新規入国を原則として認めることとします。
簡単に言うと、日本入国後14日間の自主隔離は今後も継続するが、ワクチン接種を完了している場合に限って、日本に受け入れ責任者が居てしっかりと行動管理をするのであれば、
日本人・外国人の再入国者と新規外国人労働者の行動制限を、最短で4日目以降から緩和する、
というもの。
それに加えて外国人労働者や留学生の新規入国も再開となります。
経済界からは大きな歓迎の声。もちろん、私も「やった!」と思いました。
思いましたが、
アメリカやタイなどの入国規制緩和のような、「ワクチン接種完了かつ入国72時間前の陰性証明があればOK」、というものとは大きく違い、
思った以上に複雑怪奇・大変な手間がかかり、
開始して約一ヶ月となりますが、申請する側も国側もかなり情報も対応も混乱しているようです。
今回の制度の問題点
『日本の入国制限・緩和のふり?非効率に不満相次ぐ』
11月18日付け日経新聞
記事によると、
・電話は通じず、メールアドレスも分からない
・中国、インド製ワクチン接種者への対応どうする?
などの問題点が書かれていました。そしてこんな不満の言葉も。
『隔離期間が3日に短縮されると聞き、それならば久しぶりに一時帰国して年末を日本で過ごせるかもしれないと期待していた。
だが手続きは複雑で電話も通じず、会社に面倒をかけることにもなる。
結局今年も帰れそうもない。』
ある日本企業のタイ駐在員はこう肩を落とし、
『なぜこんな面倒な仕組みを導入したのか理解に苦しむ』
と不満を口にした。
11月18日付け 日経新聞
2020年コロナ感染拡大以降、水際対策に限らず、ワクチン接種の件などでも、政府の対応については毎回、どこに連絡していいのか分からない、連絡してもなかなか繋がらないなどの不具合が発生し、利用する側にとっては本当に苦労を強いられています(対応されている担当者の方々も大変なことだろうと察します)。
今回の件では、弊社の場合は所轄の省庁が「金融庁」で、担当の方が決まってからは連絡や質問・対応も比較的スムーズに行きました。
制度を理解し、金融庁の担当の方が決まるまでは、私もとても苦労しました。
弊社ではタイ入国専用の医療保険も対応していますが、その登録も複雑な上にルールが頻繁に変わり、皆さん大変苦労されていたお気持ちが改めてよく分かります。
弊社ではまだこのようなことに慣れているのでいいですが、利用される方の中にはスマートフォンでも不慣れな方も大勢いますので、
このような制度改定などについては「小学生でも高齢の方でも、すぐに理解・対応できるような仕組みつくり」をしていただきたいと、切に願います。
せめてもの救いは、金融庁の担当してくれた方が、とっても誠実で親切に対応してくれたことです。
今回の水際対策強化に係る新たな措置(19)の申請で気付いた点など
今回、弊社で実際に申請してみて、気付いた点や学びをいくつかお伝えします。今回の制度を利用して一時帰国しようという方は、ぜひ参考にしてください。
- 受け入れ責任者は、企業や団体となります。個人ではありません。私の場合は、「株式会社セーブユー」が受け入れ責任者です。
- 感染対策責任者は、帰国者と同一は不可。今回私が入国者で、感染対策責任者も会社の代表である私自身で申請しましたが、それは却下されました。そこで私の場合は、弊社のリーダー社員を改めて任命しました。しっかり、事前確認の電話も入りました。
- この措置の申請についての質問は、担当省庁や外務書、厚生労働省のどこに連絡しても対応はしてもらえますが、大半が確認して折り返し、となります。厚生労働省に質問した時以外は、外務省も含めてすぐには分からない方が殆どでした。
- 待機中、入国翌日からカウントして3日目、そして10日目にPCR検査が必要であることは文面から読み取れますが、実は6日目にも受けないと7・8・9日目が施設待機となってしまいます。理由は、今回の行動制限緩和は、帰国後10日間までは常に72時間以内の陰性結果とセットになるからです。これは指摘をされるまで、気づきませんでしたし、担当の方も、後日気付いて知らせてくれました。
- 行動制限緩和のPCR検査は、渡航前72時間検査と違って陰性証明書は必要ありません。メールでの通知でも、それを健康管理センターに写真などで送ればいいそうです。つまり、高い費用を払って陰性証明付きの検査にしなくてもいいということです。これで3回分の検査費用は毎回1万円近く変わって来ますね。これもいろいろと調べた結果、ようやく判明しました。
- 今回の措置で必要なPCR検査が認められている機関は、スマートフォンに入れるアプリMySOSに該当する対象が掲載されています。病院以外の検査センターも記載されており、その方が料金も非常に安く、かつ上記の通り陰性証明不要ですので、通常の病院での検査・陰性証明の半額か3分の1程度です。私は、出来るだけ早く結果を受けて緩和を継続したかったので、当日結果プランを選択しましたが、それでも料金は毎回12,000円程度です。
- 行動計画は非常に細かくチェックをしています。私は会社から徒歩5分程度の場所に、社宅を借りていますが、週末に検査をして社宅から自分の自宅に行く流れが不自然だと言われて、一度却下されました。また、公共交通手段は避けるように言われていますので、移動はすべて電動自転車にしました(笑)。
無事、審査済証を入手できました。が、、、
最初に申請を始めたのが、11月15日。
金融庁の担当官の方と、5〜6回ほどの不備のやり取りの結果、11月24日に無事「審査済証」なるものをいただきました。(このブログの見出しに付いている写真がそうです)
ただ、この申請が通っても、入国後には受け入れ責任者にはいろいろな管理監督の義務が発生します。
つまり、隔離期間中でも一部特定行動を認める代わりに、すべて国側がチェック・管理をするのではなく、受け入れ責任者がしっかりと責任を負ってください、というシステムなんですね。
入国者の行動については、アプリで追跡されていますから、予定から外れた場合には受け入れ責任者に指導がいくことになります。
この措置については、日頃の業務を管理監督している省庁が管理をしているので、もしいい加減なことを行うと、日常業務に影響しそうな気がします。
一番気になる、日本人の通常の帰国についてですが、駐在員やそのご家族の場合は、企業が受け入れ責任者として対応をしてくれるのであれば申請可能ですが、実際さきほどの記事にあったように、自分の希望だけでは言いづらいのが本音でしょう。
また、企業の駐在員やその家族ではない場合には、日本人の帰国者でもこの緩和措置を利用するのはかなり難しいと思われます。
世間では「一気に水際対策を甘くして、また感染拡大につながる」という批判も出ていますが、ハードルはそんなに簡単に下げられた訳ではない、というのが実態のようです。
その後11月29日に、今回の承認はオミクロンの急速な拡大により、残念ながら取り下げとなりました。
「株式会社セーブユー 小堺様
弊社は12月に2年ぶりに海外セミナーを実施するので、早速この措置を申請し承認を受けました。
海外駐在員の方々や、日本でも事業をされている法人・個人事業主の方の海外渡航であれば、利用する価値があります。
そこで今回は、この措置を申請するにあたっての気付きや注意点などを共有させていただきます。