「海外旅行保険は、過去にかかったことのある病気は一切補償されない」
あなたも恐らく、海外旅行保険に対してこのように思っているのではありませんか?
でも海外旅行保険には、このような規定はありません。
確かにある意味それは合ってますけど、ある意味間違ってますよ。
過去にかかった病気でも、補償されるケースがたくさんありますので、今回も一緒に勉強していきましょう。
海外旅行保険の治療費用が適用される場合
海外旅行保険の治療費用保険金を払う場合は、約款により以下のように規定されています。
・被保険者が、次に掲げる疾病のいずれかを直接の原因として責任期間終了後72時間を経過するまでに治療を開始した場合
ア、責任期間中に発病した疾病
イ、責任期間終了後72時間以内に発病した疾病。但し、その疾病の原因が責任期間中に発生したものに限ります。
ウ、責任期間中に感染した感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条に規定する次のいずれかの感染症。(一類〜四類)
※保険期間31日以内の場合は、責任期間開始前に発病して治療を受けていても、海外渡航中に悪化した場合は対象となります。
「初めて発病した」とは言ってないですよね?
つまり、過去にかかったことがあっても、それが保険の期間中に再度発病した場合に、対象になることがあるということ。
保険会社でチェックするのは、それがずっと治療中に該当するのか、再発が持病や慢性病として同じ原因での発症とみなされないか、ということなんです。
カゼや肩こりなどは既往症扱いにはなりません
既往症とは、これまでにかかったことのある病気で、現在はなおっている病気のことを言います。
既往症の再発については、病気の種類や手術をしたかどうか、その後の経過や治療・検査などによって、海外旅行保険で対象になるかどうかが違います。
ポイントは、過去にかかった病気や行った手術などが、現在の健康状態や病気の発症に影響しているかどうか、です。
そのため、風邪に代表される「後遺症を残さず治癒する一時的な病気」は、再発しても問題無く保険適用となるのが一般的です。
その他、かたこり、花粉症、水虫、にきびなども、治療して治っていたものが再発しても対象になります。
医師の診察や処方薬は服用は一切せず、市販の薬やサプリだけを飲んでいた症状についても、再発時は対象です。
医療保険の告知内容に該当するかどうか
海外旅行保険に加入する際には、詳細な健康告知は必要ありませんが、いわゆる一般の医療保険に加入する場合は、過去の病歴などの詳細を告知する必要があります。
海外旅行保険と違って医療保険の場合は、長ければ『一生涯』契約者に対して補償をする必要があるので、引受には慎重なのです。
そんな医療保険の告知事項を見ると、どんな病気やケガ、過去にどんな治療や検査をしていたら、新たに加入する保険の対象になるのかならないのか、ある程度判断できます。
この考え方は、海外旅行保険でも当てはまりそうです。
つまり海外旅行保険には詳細な告知は無くても、あったと仮定してチェックすれば、再発時に対象になるかどうかの参考になるということです。
医療保険の一般的な健康告知事項内容
2,過去5年以内に、病気やケガで初診日から最終受診日まで7日以上の期間にわたり、医師の診察・検査・治療を受けたこと、または7日分以上の投薬を受けたことがありますか?
3,過去5年以内に、病気やケガで手術を受けたことがありますか?
4,今までに、ガンまたは上皮内がんと診断されたことがありますか?
5,過去2年以内に健康診断・人間ドッグ・がん検診を受けて、「要再検査」・「要精密検査」・「要治療」を指摘されたことがありますか?
逆に言えば、告知で「はい」に該当したものは、海外旅行保険に加入後再発しても、対象にはならない可能性が高い、ということ。
これらから考えると、少なくとも最後の治療歴から過去5年以上経っていれば、がん以外の殆どの病気については再度発病しても保険の対象になりそうだ、と言えると思います。
心臓の病気や脳の病気でも、完治してその後5年以上治療も服薬も経過観察もしていないのであれば、対象になるケースもありそうです。
また例え5年以内に発症した病気でも、治療は7日以内だったり、その後に後遺症など残らない、慢性的なものにならない急性の病気であれば対象になると思われます。
少なくとも2年間治療や服薬・検査もしていなければ、対象になる可能性がかなり高くなります。
持病の筆頭とも言われる痛風や高血圧症などでも、2年以上治療も服薬もしていなければ同様です。